2012年9月5日水曜日

【報告】国際水映画祭2012


先週の土曜日(9月1日)、渋谷の国連大学で開催された『国際水映画祭2012』に参加してきました。


今年のテーマは「水の民営化・商品化」。

水政策研究所としても総力を挙げてこの間取り組んできた課題です。

午前中最初に上映された『雨さえも』という作品は南米・ボリビアのいわゆる「水戦争」を題材にした映画です。この日はあいにくの曇りときどき雨模様でしたが、まさに会場の外で降っている雨さえも市民が集めることを禁止されるという考えられない事態に陥ったのが、1990年代後半から2000年にかけてのボリビア・コチャバンバ市です。

欧米に本拠を置く巨大水企業が、市民の命の源である水を管理するとどうなるのか。
料金が3倍に値上がり、ボリビアの貧しい人々や先住民の人たちには大打撃となりました。
水を求めて立ち上がった人々と、それを押さえ込もうとする警察・軍隊との衝突で10代の少年が一人亡くなったそうです。

上映後に解説を担当したNPO法人AMネット理事の堀内葵氏によれば、こうした水道民営化はボリビアだけでなく、フィリピンやインドネシアでも起きており、実際に訪問したインドネシアでは人々と労働組合・NGOが協力して民営化反対キャンペーンを行なっているとのことです。

午後はそのインドネシアの伝統織物と歌を使って、ある村に外国の水企業が進出する顛末を描いた物語を表現するユニークな作品(『今日はよき日』)や、インド・ケララ州でダムに反対する人々を映した作品(『川を継ぐ者』)、そして、長年水俣病患者の診断をされ、今年6月に亡くなられた原田正純さんの50年の軌跡をまとめた『未来への診断書―水俣病と原田正純の50年』などが上映されました。

ダム問題について解説を担当したNPO法人メコン・ウォッチ事務局長の木口由香氏によれば、ダム建設にはプラス面もマイナス面もあると言われているが、実際には利益の分配が不公平であることが問題、とのことです。


映画祭の締めくくりとして開催された特別シンポジウム「水俣と福島―水・海・魚の放射能汚染とどう向き合うか」では、グリーンピース・ジャパンの海洋生態系問題担当である花岡和佳男氏からは、昨年3月の福島第一原子力発電の事故後、海洋の汚染が進んでいることや、スーパーマーケットで売られている魚の放射線を計測して公表するように働きかけた活動などが紹介されました。


水の民営化・商品化に関する映画をまとめて観ることができ、特別シンポジウムで過去と現在の問題のリンクを改めて考えることのできた一日でした。

今回上映されたような水をテーマにした映画をぜひ多くの人に観てもらいたいですね。
大阪や関西地方でも開催したいなあ。
協力者募集中です!

(事務局 T)